喉が渇いたよ、季節の変わり目はやっぱり身体が少し重く感じてしまうわ。後ろ足が私の云う事を聞いてくれないから、いらいらも募るし、器に用意してくれた水を前足が突っ張ってこぼしてしまったし。おかしいな これではまさにおばあちゃんの年齢だからなのか事態は赤ちゃんの行動そのもの、こまったもんだよー。特にお父さんが近くにいると、ついつい優しくしてほしくなり、湧き出る嬉しさを止める力はまるで無く、とめどなく失態を延々と繰り広げるのであります。
お尻を振って喜ぶしぐさをしたいのも、敷物をひっぺがしたり、小さな枕を涎で汚したりする始末、思い通りに行かない事が増えてしまったわよ まったく。
お父さんが身体を悪くして私も2年間ほど心がつぶれるほどお祈りをしていたことが嘘のように蘇り始めたお父さん、今思い返せばあっという間の事のように思えるけど、お母さんと一緒に本当に私も頑張ったのよ。家で一人で留守番もしていたの、待っても待っても帰ってこないから、お母さんが少し元気そうに見えるのは必ず何かいい事があった時、ご飯を作る時の足音で解るの、スタスタとリズミカルな音か台所で軽く響くからすぐに私には伝わるの。
いっぱい遊んでもらって、色んな所に連れて行って貰って、本当に楽しい事ばかり、特に車での旅行は私のお気に入りだもの。
東京のお友達で、私に良く似た娘を持つ人が居るらしく、良くお父さんとお母さんが話してるから、年賀状を見ては騒いでいたから、結構可愛い子なのでしょうね、姫ちゃんって言ってたけど、お父さんが残念そうに話してくれたんだけど、この秋に本当はお友達と私と姫ちゃんが会う筈だったんだって。でも、病気になって、食事もあまり食べれなくなって、点滴で頑張っていたんだけど、朝の散歩をして、疲れて眠っていたら、そのまま起きてはこなかったんだって。私より一か月お姉ちゃんだったらしいから、凄いよ。私は後ろ足はもう動かないもの。お母さんが腹巻で腰を持ち上げてくれているから外へ散歩に行けるけど、家の中でも回ることしかできないから、おしっことうんちはお母さんがいないとできないからね。
よーし、姫ちゃんの分までこれから頑張って生きてやろうっと。