12月23日(日曜日)

目覚めと共に血圧を測るが、やはり100あるかないかである。朝食がきつく、ひょっとすると抗がん剤の影響かもわからない。食事も看護婦に見てもらい、これだけ食べればいいですよの範囲迄は頑張って食してやめる。しばらくして海ちゃんが来て、昼ご飯はやはり魚(鱈)は喉につかえて食べれないのと、臭みを抜く作業も出来ていないので非常に食べづらい。お手上げである。抗がん剤治療から2日間の検尿が終わり、やっとシャワーを浴びれることとなる。天皇賞が終わったら入るとしよう。なぜか1年間で最初で最後の競馬になるのだが、頭があまり働かず、感も予測も甘い気がしていたのであるが、なんと3連単と、馬連を当ててしまったのである。沢山掛けてなかったから、ちょっとだけ勝ち、いい年末になりそうである。海ちゃんが喜んでいるのが、僕の声が少しずつ大きくなっていることで余程状況が今までより良く映ったのであろう。反回神経が治ればいいねと夢見ながら毎晩声を出す練習を少しづつでもせんといかんね。晩御飯は頑張って食べよう、なんとしても流し込まねばならない。

闇雲に、色々取り組んでいるが、光明は見えてこない。のどに詰まることが咳を引き起こし、咳が怖くて少しづつ食べると、空気で腹が張るのである。最も恐ろしいのは反回神経麻痺でご飲をして気管に食べ物が入ってしまうことである。これは、肺炎を起こす起爆剤であり、一つ間違えば、死に至るのである。焦るな、一歩一歩確実に歩こう。後ろを振り向かないで、頑張れ豊年、負けるな ほうねん と自分に言い続けよう。

12月22日(土曜日)

朝から食事がうまく食べられず、結構悪戦苦闘を繰り返す。昼も腹を壊し、下痢になり、食事量が減り始める。そんな頃歯磨きをしていると、年代が違うのであるが、何故か旧知の知人に思えてしまう大和田さんがお見舞いに来てくれた。彼の夫婦と我が夫婦は意外に気が合う。海ちゃんも好きな夫婦なのでしょう。僕も、奥さんともども世話になり、共に中国、タイなど仕事も含め同行して頂き、有難い限りである。余談はさておき、突然でびっくりなのであるが、気を聞かせてはちみつを持参してくれた。とても体によさそうである。ちょうど権田さんが倒れて仕事を手伝ってやらなければならないらしく、今日から大変だと帰って行った。まことにありがたい話であった。夜も下痢を2回し、昨日より血圧が80台に下がり、立ちくらみがひどい。点滴で上げるも100弱までしか行かなかった。明日はどうなるかと気にかかるがしょうがない。3度目のうんちはさすがに、不意に出てパンツを汚し、捨てました。こんなこと何十年ぶりであろう。

あまりに恥ずかしいそんな状況に陥る事態であります。

12月21日(金曜日)

朝はいつものように痛み止めを貰い、少しでも口が動くようにしてみるが、以前より一向に広がらない。依田先生が、顎の膿の除去と消毒をしてくれるが、なかなか治らない。

急遽昼から、抗がん剤を打つ話になり、午後2時スタート、終了時間は夜中の2時半になる。正月を挟む立済前に2回行うとなると、本日やる以外ないのである。でもこれは、事前に分かっていたはずなのだが。食事が次第に不味さが引き立つようになってき出している。これはどこかで気を付けないとまずそうだ。

口に入れるだけでも大変なのに、美味しく思えるものを探さねばならない。如何にも、気を抜けば体重が減る傾向は逃れようもない現実であり、生き抜くための手段を模索しなければやばいぞ。

12月20日(木曜日)

朝から喉の渇きが気になる。便が3日出ていないのも非常に気になる。朝早く放射線治療の呼び出しがあり、10時半には終わって帰室、急いで昨日は入れなかったシャワーを浴びる。顎の傷を依田先生に見て頂き検尿も午後2時に終わり、抗がん剤の治療のスタートを待つばかりである。早ければ明日、遅くても来週月曜日との事であるが、年末を考えれば明日金曜日が良いはずなのにね。ただ昨日より薬が増えて大変である。とろみで溶かして飲む以外ないかもしれない。

部屋担当看護師の堀本実絵さんは若く、以前の気がよく付く門川さんによく似ている一生懸命の子である。案外海ちゃんにも評判がいい。そうこうしているうちに、午後3度の大便が出る。ここまで出るかというぐらい出たので、最後は下痢気味になる。

12月19日(水曜日)

入院手術後、1週間は完全に動けず、頬の移植部分の結合があり、ベットから動けず、常に天井を向いたままでの生活でありました。苦しいとか、しんどいとか、背中が痛いとかではなく、どうやって時間と苦痛との闘いを負けないで過ごすことにのみ全精力を使っておりました。

その後個室に戻り、一つずつ注射器、採尿器、体液排出器、食事注入弁などが外れ、部屋もシャワー月に変わった処です。

少しずつ食事も増え、やっと生きる意欲が出てきたところです。

昨日までは、明日を見つめて、とにかく食べること、意欲を消滅させないことだけに精力を費やしていました。

やっと、会社のこと、社員のこと、家族のことが考えられるようになり始めた処です。

そんなさ中、依田先生より抗がん剤治療の本日からの実施の連絡が来ました。もともと顎からの液だれが無くならないとできないという事だったのですが、ガーゼを外して行いましょうとの結果です。

WEEKLY CDDP(シスプラチン)を週1回×5回の予定で行います。副作用としては、吐き気、腎機能障害、脱毛、口内炎、便秘、骨髄抑制、(赤血球、白血球、血小板の減少)アレルギー反応などの症状が起きる可能性あり。

本日の放射線治療は1時間弱であった。顎の結合部分が完全に塞がっていないので、様子を見ながらの進行になるらしい。

考える力が衰弱しているのか、天井のシミが意味もなく頭に降り注ぎそうな不安に襲われる、理解不能な一瞬があります。案外、手術後は投薬の後遺症がこんな形で出るのかもしれないね。しっかり頬でもつねっておこう。