とても退屈なくせに、なぜか元気が出ないのは、病気は気からと云うことであろうか?
一人で日黒病院に行き、受付で入院手続きをする。
何故か、こんな時は、誰も知人、家族もいない方がまだましである。事務手続きは暦をなぞるようにすんなりと進行していった。
個室にして頂いたのであるが、それほど広くはなく、病院ではこんなものかと云った処であり、ベッドの上に担当の名前が記されていた。しばらくすると看護婦が来られる。
看護婦をからかう気力があればいいのだが、逆にからかわれそうな雰囲気の女性、虫でたとえれば間違いなくカマキリに属すると思われる。名前が良く分からないが,むらたふみこかふきこかふおこかであろうと思われる。村田扶生子 むらたふみこさんでありました。
初日、海ちゃんが食事のおかずをたくさん買ってきてくれたのですが、多すぎて食べきれませんでした。帰り際で、茫然自失の彼女を見るのは苦痛でした。
暗闇に投げられた石の如く、一体これから何が起きるのか、何処に転がっていくのか、何も見えない状況が、静かに幕を開けたのである。
あがいても始まらない。まずは、己を信じ、鼓舞するしかない。